大規模オフィスのPM管理まで任せられる内装工事会社の選び方【2026年版】

目次
大規模オフィス内装におけるPM管理とは何か
大規模オフィスの内装プロジェクトでは、図面を引いて工事を進めるだけでは完結しません。発注者側に立って計画全体の品質・コスト・スケジュールを統括する役割が必要になります。これがPM(プロジェクトマネジメント)管理であり、建設分野ではCM(コンストラクションマネジメント)方式として制度的な整理が進んでいます。
PM管理・CM方式・発注者支援の考え方
国土交通省は地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン(令和2年9月)を公表し、発注者を技術的に支援するマネジメント方式の制度的枠組みを整理しています。ここで重要なのは、CMが施工者の立場ではなく発注者の代理・補助として技術的判断を支える点です。オフィス内装に置き換えると、テナント企業が本業を抱えながら判断しきれない技術論点を、専門家が整理して意思決定を前に進める仕組みだと理解するとわかりやすいでしょう(国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課)。
設計者・工事監理者という法的な位置づけ
同ガイドラインでは、国土交通省告示第98号において建築事業における設計者の業務として基本設計・実施設計の標準業務、工事施工段階で設計者が行う業務が位置づけられており、設計者と工事監理者が法的に位置づけられていると説明されています。つまり内装プロジェクトの登場人物は、発注者・設計者・工事監理者・施工者・マネジメント担当と分かれており、PM管理を担う会社はこの役割分担を前提に全体を束ねることになります。
施工のみの会社との業務範囲の違い
施工を主業務とする会社の守備範囲は、基本的に自社が請け負った工事の完成です。一方PM管理まで担う場合、次のような領域まで業務が広がります。
- 要件整理と現地調査、ゾーニング方針の策定
- 設計・工事監理との連携と設計内容の妥当性確認
- 工程全体の統括と各工事区分の調整
- コスト管理と仕様変更時の影響評価
- ビル管理会社・オーナーとの協議窓口の一本化
なぜ数百坪超で必要になるのか
規模が大きくなるほど、関係者の数が跳ね上がります。設計事務所、内装施工者、電気・空調・通信の各業者、什器・サイン・移転業者、さらにビルオーナーとビル管理会社が加わり、二桁の窓口を同時に動かすことになります。加えて、ビル側指定業者が施工するB工事の範囲確定と金額査定、退去時の原状回復条件の整理は、賃貸借契約と工事仕様の両面を読み解く作業です。数百坪超では、これらが同時並行で走るため、調整の担い手を置かないと判断の遅れが工程全体の遅延に直結します。PM管理が求められるのは、この構造的な複雑さゆえです。
大規模工事・PM管理可能なオフィス内装工事企業(掲載28社)
当サイトに掲載している企業のうち、「大規模工事・PM管理可能」に該当する28社です。
掲載は各社の許諾を得たうえで行っており、順位付けはしていません。
| 企業名 | 概要 | 対応範囲 |
|---|---|---|
| サンニン株式会社 | 東京都港区に本社を構える、空間デザインと施工の専門企業です。2005年の設立以来、オフィスや商業施設の設計・施工、不動産、グラフィック、メンテナンスなど、空間づくりに関わる多様なサービスをワンストップで提供しています。「コミュニケーションか… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/不動産紹介から可能/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社ザック | 東京都千代田区に本社を構え、オフィス空間の企画・設計・施工から管理・メンテナンスまでを一貫して手がける企業です。1988年の設立以来、累計1万件を超える豊富な実績を持ち、オフィスに特化した高い専門性を発揮しています。顧客のニーズに寄り添い、… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社ワックス・トラックス | ビジョンに「想像力資本主義」を掲げ、革新的なデザインを提供しています。オフィスやレストラン、ショップ、住宅、イベントスペースなど多岐にわたるプロジェクトを手掛けています。青山や渋谷、六本木など東京を中心にしながら、全国で実績があるのが特徴で… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社清和ビジネス | オフィス環境の進化を支えるソリューションプロバイダーとして、多様なサービスを提供しています。オフィス移転やリニューアル、デザイン・レイアウト設計、家具販売など、環境空間構築に関するトータルサポートを行っています。また、教育施設や医療福祉施設… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/不動産紹介から可能/移転対応も可能/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社ヴィス | 企業のブランディングと空間デザインコンサルティングに強みを持つ会社で、クライアントのブランド価値を最大化するためのクリエイティブなソリューションを提供しています。オフィスや商業施設のデザインを通じて、企業のアイデンティティを視覚的に表現し、… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/一括対応可能/原状回復工事可能/不動産紹介から可能/移転対応も可能/オフィス家具の手配も可能 |
| 株式会社GOOD PLACE | 1990年にリクルートグループのリフォーム事業として設立され、現在は大和ハウスグループの一員として活動している企業です。「Make a GOOD PLACE」をブランドコンセプトに掲げ、建物の企画・設計・施工、オフィス構築、総務アウトソーシ… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社ミライズワークス | オフィス移転や空間デザインを中心に、働く場のトータルプロデュースを手がける企業です。「想像以上の感動を。」を企業理念に掲げ、オフィス移転プロジェクトマネジメント、設計デザイン、原状回復、情報セキュリティ対応など、多岐にわたるサービスを提供し… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/移転対応も可能/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社オリバー | オフィスの移転・改装を通じて企業のビジョン実現を支援するブランドです。コンセプト設計からデザイン、家具製造、内装施工、プロジェクトマネジメントまでをワンストップで提供し、サステナビリティやコミュニケーションを重視した空間づくりを行っています… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/移転対応も可能/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社ミダス | オフィス家具の設計・製造・販売を行う企業で、快適で機能的なオフィス環境を提供することを目指しています。高品質な製品と優れたデザインを通じて、働く人々の生産性と創造性を向上させることに注力しています。持続可能な素材を使用し、環境に配慮した製品… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社MACオフィス | オフィスの設計・施工を専門とする企業で、企業のニーズに応じた快適で機能的なワークスペースを提供します。オフィスの新設、移転、リニューアルにおいて、企画から設計、施工、アフターサービスまで一貫したサポートを行います。最新のデザインとテクノロジ… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/移転対応も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 明豊ファシリティワークス株式会社 | コンストラクション・マネジメント(CM)専業として唯一の上場企業であり、発注者支援型のCM方式により、建設プロジェクトの課題解決を支援しています。オフィス移転・統廃合プロジェクト、公共施設、生産施設、研究施設、教育施設、医療施設、商業施設、… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/移転対応も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
| 株式会社リメンテサポート24 | 福岡を拠点にリフォームやメンテナンスを専門とする企業です。内装工事や設備工事、大工工事、塗装工事、改装工事など、マンション・アパート・戸建住宅から店舗施工まで幅広く対応しています。特に、クロスメイクという新工法を用いたコストカットや施工時間… | 坪単価 : 工事種別により変化/レイアウト・空間設計が得意/オフィス家具の手配も可能/小規模内装工事のみの対応が可能 |
このカテゴリには他にも掲載企業があります。全28社の一覧は掲載企業ページからご確認ください。
PM管理まで任せられる会社を見極める6つの比較軸

候補企業の資料を横並びに置いても、どこを見れば差が分かるのか判断しづらいものです。大規模オフィスのPM管理を任せる前提であれば、次の6つの軸に分解して比較すると精度が上がります。会社比較の一覧表を読むときも、この軸に当てはめながら読み進めてください。
1. 専任PMの人数と有資格者の厚み
まず確認したいのは、案件に専任で張り付くマネジメント担当が何名いるかです。営業担当が兼務でPMを名乗っているのか、設計・工程・コストを統括する専任者が置かれるのかで、進行中の情報精度は大きく変わります。あわせて一級建築士、一級建築施工管理技士、設備系の有資格者が社内に何名在籍しているかを見ます。数百坪超では設計・監理と施工管理が同時並行で動くため、有資格者が一人に集中している組織は繁忙期に破綻しやすくなります。
2. 数百坪超の大規模実績の有無
実績は件数ではなく規模と用途で見ます。自社が計画する面積帯に近い事例があるか、フロア分割や複数フロアの縦移動を伴う案件を扱ったか、居ながら工事や段階移転の経験があるかを具体的に聞き取ります。総坪数だけでなく、想定人数、工期、関与した工事区分(A・B・C)まで確認できると、類似規模かどうかを判断しやすくなります。
3. 設計施工一貫型か分離発注支援型か
ビジネスモデルの違いは向き不向きに直結します。一貫型は窓口が一本化されスピードが出やすい反面、価格の妥当性を社内で検証しにくい構造になります。分離発注支援型は透明性を確保しやすい一方、発注者側にも意思決定の体力が求められます。どちらが優れているかではなく、社内の推進体制と期日から選ぶ視点が必要です。オフィス内装工事完全ガイド2026もあわせて読むと、依頼形態の違いを整理しやすくなります。
4. 全国・多拠点対応力
本社移転と同時に支社を改装する、地方拠点を順次統合するといった計画では、施工エリアと自社拠点網の広さが効いてきます。遠方を協力会社に丸投げする体制か、自社担当が巡回して品質を揃える体制かを確認します。
5. 自社施工比率と協力会社ネットワーク
自社施工の範囲が広いほど工程の融通は利きますが、大規模では専門工事を外部に委ねるのが通常です。重要なのは比率の高低よりも、協力会社を固定的に管理し、品質と単価の根拠を説明できるかどうかです。
6. 什器・IT/AV・移転・原状回復までの対応範囲
内装の完成後に什器搬入、ネットワーク、会議室のAV設備、旧拠点の原状回復が続きます。これらを別発注にすると調整責任が発注者に戻ります。オフィスの原状回復工事ガイドで扱う範囲まで一社で引き受けられるかは、担当者の負荷を左右する実務的な比較軸です。
発注から引渡しまでの進め方と契約・見積で確認すべきこと

大規模オフィスの内装プロジェクトは、発注前の要件整理から引渡しまでを一本の線でつなげられるかどうかで結果が決まります。ここでは実務の流れに沿って、各段階で確認すべき成果物と契約・見積の要点を整理します。
RFPに盛り込む要件と選定プロセス
提案依頼書(RFP)の精度が低いと、各社の提案が比較不能になります。最低限、次の項目は明記しておきます。
- 対象面積・階数・入居ビルの工事区分表と館内規則の写し
- 働き方の方針と座席数、必要諸室の想定(会議室・集中ブース・カフェ等)
- スケジュールの制約条件(現ビルの解約予告期限、入居開始希望日)
- 概算予算の上限と、什器・IT/AV・移転・原状回復の費用を含むか否かの線引き
- 依頼したい業務範囲(設計、施工、発注者支援のどこまでか)
- 提案時の提出物と評価基準、質疑応答の期限
選定は、書類審査で候補を絞り、プレゼンとヒアリングで担当予定者の実力を確認する二段階が現実的です。評価は価格だけでなく、設計提案・体制・進行計画を配点化して社内合意を取っておくと、後の稟議が通りやすくなります。
フェーズ別マイルストーンと成果物
- 企画・条件整理:現況調査報告、ゾーニング案、概算工事費、全体工程表
- 基本設計:平面計画、仕上げ・意匠イメージ、設備方針、工事区分の仕分け表
- 実施設計:実施図面一式、仕様書、確認申請や消防届出の要否判断
- 施工:着工前の施工計画書、週次の進捗報告、変更管理台帳、写真記録
- 検査・引渡し:社内検査と是正リスト、消防・行政検査の完了確認、竣工図・保証書・取扱説明、鍵と什器の引渡し
各マイルストーンで承認者と締切を決め、意思決定が遅れた場合の工程影響を数値で示してもらう運用にすると、手戻りを抑えられます。なお発注者を技術的に支援するマネジメント方式の枠組みや、設計者・工事監理者の位置づけについては国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課の資料が参考になります。
見積内訳と契約で明文化すべき事項
見積は一式表記を避け、工種別(内装造作・電気・空調・消防・情報配線・サイン・什器など)の数量と単価が読める形式で提出を求めます。VE提案は、削減額と品質・機能への影響をセットで記載させると判断がぶれません。諸経費とPMフィーは、定額か工事費比例か、対象業務と期間はどこまでかという算定根拠を必ず確認します。
契約書では、業務範囲の記載に加えて、変更発生時の指示・承認ルートと費用精算の方法、ビル側B工事の査定交渉を誰が担うのか、引渡し後の不具合対応の窓口と期間、工事監理者の責任分担を文書化しておきます。口頭合意のまま進めた項目こそ、後半で紛争の火種になります。
2026年の市況を踏まえた発注判断と最終チェックリスト

2026年の東京オフィス市況は、発注計画そのものを左右する水準に達している。三鬼商事が公表した2026年7月末時点の東京ビジネス地区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の平均空室率は前月比0.04ポイント減の1.95%で、2%を下回る逼迫した状態にある(日経不動産マーケット情報)。賃料も同年7月時点で23,287円/坪となり、30カ月連続で上昇している(日経不動産マーケット情報)。つまり、区画を先に押さえられる企業が有利で、内装側の検討が遅れるほど条件は不利になる。
新築と既存でリードタイムの読み方が変わる
2026年4月時点の東京都心5区では、新築ビルの空室率が12.11%だったのに対し、既存ビルは2.02%と大きな差があった。同時期の平均空室率は2.20%で3カ月ぶりに低下し、大型の募集開始やビル内縮小に伴う解約がある一方、統合・拡張に伴う成約もみられた(住宅新報web)。新築は比較的区画の選択肢が残るため、竣工スケジュールに合わせた長期の設計・工事計画が組みやすい。逆に既存ビルは空きが出た瞬間の競争になりやすく、区画決定から引渡しまでの期間を短く見積もらざるを得ない。数百坪超では、賃貸借の条件交渉と並行してPM側の概算・工区割りを走らせる体制が現実的な解になる。
統合・拡張案件の優先順位づけ
複数拠点の統合や増床を伴う案件では、移転先の確保、既存拠点の原状回復時期、什器・IT移設の順序が相互に噛み合う。どれか一つが遅れると賃料の二重負担が発生するため、期限が動かせない項目から逆算し、意思決定の締切を先に固定しておきたい。
発注前チェックリスト10項目
- 移転先候補は新築か既存かを整理し、それぞれの想定リードタイムを比較したか
- 賃貸借の締結時期と内装発注時期の前後関係を明確にしたか
- 二重賃料の発生期間と上限を試算したか
- 原状回復の時期・範囲を貸主と事前に確認したか
- PM体制と有資格者の関与度を確認したか(前述の6軸を参照)
- 同規模・同面積帯の実績を具体的に提示させたか
- RFPで業務範囲と工事区分の線引きを明示したか(前述の通り)
- 見積の内訳とPMフィーの算定根拠を確認したか
- 変更管理と追加費用の決裁ルールを契約前に合意したか
- 什器・IT/AV・移転・原状回復までの一括対応可否を確認したか
市況が締まっている局面ほど、早期にPM機能を巻き込んだ企業が選択肢を残せる。
費用や条件を具体的に知りたい方はお見積りフォームから、進め方や業者選びから相談したい方はご相談・お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。









