スケルトン内装の基礎知識│費用相場・工期・メリット・デメリットを徹底解説

目次
スケルトン内装とは、建物の構造体以外を取り払う工事のことです。
店舗開業に伴い、既存の内装が業態とマッチしない場合に検討する方が多いですが、費用相場や工期、メリット・デメリットについて気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論として、スケルトン内装は通常の内装工事よりも高額で工期が長期化するケースが多いです。ただ、空間を自由にデザインできるメリットがあるため、スケルトン内装を選択する方も少なくありません。
この記事では、スケルトン内装の基礎知識について解説していきます。
| 〈この記事で分かること〉
・スケルトン内装の基礎知識 ・スケルトン内装のメリット・デメリット ・スケルトン工事の費用相場と工期目安 ・スケルトン物件を契約する際の注意点 |
スケルトン内装を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
1. スケルトン内装とは│内装工事や居抜き物件との違い

店舗開業時の内装費用は、開業資金のなかでも特に大きな割合を占める項目です。内装工事を検討している方は、内装工事の種類ごとの特徴を理解し、どの内装工事が適切なのか判断する必要があります。
ここからは、スケルトン内装の基礎知識と内装工事・居抜き物件との違いについて解説していきます。
スケルトン工事の定義と状態
スケルトン工事とは、建物の構造体のみを残し、壁・床・天井・空調・水回りなど、すべての内装と設備を撤去する工事のことです。スケルトン工事後はコンクリート打ちっぱなしの状態になり、一から自由にレイアウトを決めることができます。一般的な内装工事や居抜き物件よりもデザインの自由度が高いうえ、耐震や防音などの環境を強化することも可能です。
スケルトン工事と一般的な内装工事の違い
| 項目 | 内容 | 原状回復費用 |
| 内装工事 | 必要に応じた設備・内装の解体 | 安い |
| スケルトン工事 | 構造体以外すべて解体 | 高い |
スケルトン工事は建物の構造体以外の内装・設備をすべて解体するのに対して、一般的な内装工事では必要に応じて設備や内装を解体します。例えば、壁紙のデザインだけを変更したい場合は、壁紙のクロスを張替えるだけで終了するので、内装工事の方が労力は少ないといえます。
また、賃貸契約終了時の原状回復にも違いがあります。スケルトン工事の場合は、退去時にスケルトンの状態に戻す必要があり、原状回復費用が高額になる可能性が高いです。一方、一般的な内装工事の場合は、工事した部分だけを元の状態に戻せば良いので、スケルトン工事よりも安い価格で済みます。
居抜き物件との比較と選択のポイント
居抜き物件とは、前テナントの内装・設備をそのまま流用することです。最低限の内装工事で済むため、初期費用を抑えられるうえ、最短で開業に向けた準備を行えます。ただし、居抜き物件では、開業後に問題が発生するケースも珍しくありません。前テナントの設備をそのまま利用するので、エアコンや排水設備が老朽化で故障してしまったり、詳細な取扱い方法が分からなかったりする場合があります。
いくつかのポイントを比較して選択するようにしましょう。
| 項目 | 居抜き物件 | スケルトン工事 |
| 初期費用 | 安い | 高い |
| 工期 | 短い | 長い |
| デザインの自由度 | 低い | 高い |
| 機能性 | 低い | 高い |
2. スケルトン内装を選択するメリットとデメリット

スケルトン内装を選択するメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット:自由度の高い空間設計とインフラの最適化
スケルトン内装を選択するメリットは以下の通りです。
| ・自分で内装デザインを決められる
・入居後の設備トラブルが発生しにくい |
スケルトン内装を選択する最大のメリットは、自分で内装デザインを決められることです。内装が何も施されていない状態から、店舗内の内装デザイン・レイアウトを決められるので、イメージ通りの店舗を作れます。
また、エアコン・厨房機器や、空調・排水などのインフラ設備も自分で導入するため、居抜き物件のように入居後に設備が故障してしまう心配もありません。メンテナンス時期も把握できるので、入居後は設備トラブルが発生しにくいメリットがあります。
デメリット:高額な工事費用と長期化する工期
スケルトン内装を選択するデメリットは以下の通りです。
| ・工事費が高額になりやすい
・工期が長く開業までに時間がかかる |
スケルトン内装を選択する最大のデメリットは、工事費が高額になることです。スケルトン内装では、床・壁・天井・照明・インフラ設備を一から作る必要があるので、一般的な内装工事や居抜き工事と比較して、工事費が高額になりやすいです。
また、ゼロの状態から内装の設計、インフラ整備を行わなければいけないので、狭い店舗でも着工から営業開始までに3ヵ月~6ヵ月ほどかかるでしょう。前テナントの内装が残っている場合は解体工事も入るので、開業までに時間がかかってしまうデメリットがあります。
3. スケルトン工事の費用相場と工期の目安

スケルトン工事を検討している方のなかには、「費用はどれくらい」「工期は長いの?」と不安を感じている方も多いと思います。解体自体は坪単価2万円~4万円が目安ですが、内装工事の費用相場は業種ごとに異なります。
ここからは、スケルトン工事の費用相場と工期の目安について解説していきます。
坪単価別の費用シミュレーション
スケルトン内装における工事費用の目安は、解体から内装まですべての工程を含めて坪単価30万円~80万円です。ただ、実際の費用目安は業種ごとに以下のように異なります。
| 用途 | 坪単価の目安 |
| オフィス | 30万円~50万円 |
| 美容室 | 35万円~60万円 |
| 飲食店 | 40万円~80万円 |
飲食店は、厨房設備や空調などのインフラ整備が必要になるので、他の業種と比べて工事費が高くなりやすい傾向にあります。また、人件費の上昇など、社会情勢の影響によって内装工事費は年々増加しているため、今後は上記の金額よりも値上がりする可能性が高いです。
スケルトン内装工事が完了するまでの期間
スケルトン内装工事では、ゼロの状態から工事を始めるため、着工前に内装の構想や設計を行う必要があります。また、一般的な内装工事や居抜き物件とは異なり、排水やガスなどのインフラ整備も発生するので、設計から引き渡しまでには3ヵ月~1年ほどかかると考えてよいでしょう。
ただ、実際の工期は物件規模ごとに以下のように異なります。
| 物件規模 | 目安となる工期 |
| 小規模 | 1ヵ月~3ヵ月 |
| 中規模 | 3ヵ月~6ヵ月 |
| 大規模 | 6ヵ月~1年 |
4. スケルトン物件を契約する際の注意点と重要ポイント

スケルトン物件はゼロの状態から店舗をデザインできる魅力的な物件ですが、実際に契約する際はいくつか注意しなければいけないポイントがあります。
ここからは、スケルトン物件を契約する際の注意点と重要ポイントについて解説していきます。
原状回復義務の範囲を確認する
スケルトン物件を契約する際は、事前に原状回復義務の範囲を確認するようにしましょう。原状回復とは、退去時に契約前の状態に戻すことを指しており、スケルトン物件においては、ほとんどのケースで原状回復義務が発生します。テナントを退去する際は、原状回復で発生するコストまで見込んでおく必要があるのです。
原状回復で発生するコストを抑えるには、契約前に原状回復を担当する業者が指定業者になっていないか確認することが重要です。指定業者になっている場合は市場原理が働かずに、相場よりも高い料金に設定されてしまうので注意が必要です。
ライフラインの引き込み容量とルートの確認
スケルトン物件を契約する際は、電気・ガス・水道の容量が自社の業態に足りているか確認しておく必要があります。容量が足りない場合は、テナント側に増設工事を依頼する必要がありますが、増設工事はテナント側にとって大きな負担になるので、場合によっては契約を断られてしまう可能性があります。
事前に自社の業態に合うライフラインの引き込み容量を確認して、条件に合う物件を契約するようにしましょう。
消防法や建築基準法への適合
スケルトン物件を契約する際は、消防法や建築基準法へ適合するように設計する必要があります。例えば、スケルトン物件は天井が完全に撤去されているので、スプリンクラーや火災報知機などの消防設備が整っていません。消防法を満たすためには、設計の段階で所轄の消防署に相談し、消防法に適合させるための追加工事などがないか確認する必要があるのです。参考までに、飲食店を開業する場合にどのような消防設備が必要になるかご紹介します。
- 消火器
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- スプリンクラー設備
5. まとめ
スケルトン物件はゼロの状態から好きなようにデザインできる魅力的な物件ですが、契約前に理解しておかなければいけないポイントが多くあります。注意点を理解せずに物件を契約すると「開業資金が底をついてしまった」「オープン日に間に合わない」などの事態に発展しかねないので、注意してください。
とはいえ、費用や工期を気にせずに理想のお店を作りたい方にとっては、理想的な物件です。自社に適した物件の種類が分からない方は、専門家にご相談ください。








