エフェクターの基礎知識と選び方!おすすめモデル10選

エフェクターは楽器の音に変化を加え、表現の幅を広げる機材です。特にギターやベースで多く使用され、音楽ジャンルや演奏スタイルに合わせた音作りを可能にします。しかしエフェクターには多くの種類があり、どのエフェクターが自身にあっているのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではエフェクターの基礎知識から種類、選び方までを詳しく解説します。また初心者にも扱いやすいモデルや、プロも愛用するおすすめのエフェクターを厳選して紹介します。自身に合ったエフェクターを見つけ、理想のサウンドを実現するための参考にしてください。
1.エフェクターとは?
楽器の演奏において、音の表現力を広げるために欠かせないのがエフェクターです。エフェクターを使用することでギターやベースの音にさまざまな効果を加え、独自のサウンドを作り出すことができます。特にロックやポップス、ジャズ、メタルなど、ジャンルによって求められる音の特徴が異なるため、適切なエフェクターを選ぶことが重要です。
ここではエフェクターの基本的な役割や仕組み、さらに音楽ジャンルとの関係について詳しく解説します。
エフェクターの基本的な役割とは?
エフェクターの最大の役割は、楽器の音を加工して表現の幅を広げることです。ギターやベースはそのままの音でも十分に演奏できますが、エフェクターを使用することで、音に歪みを加えたり、空間的な広がりを演出したり、特定の音域を強調したりすることが可能になります。特にバンド演奏や録音において、エフェクターは重要な要素となります。
音の補正・強化
エフェクターの中には音のバランスを整えたり、音質を強化したりするものがあります。例えば「コンプレッサー」は音の強弱を一定に保ち、演奏を安定させる役割を果たします。また「イコライザー」は特定の周波数を調整し、低音を強調したり高音をクリアにしたりすることが可能です。これによって楽曲の中で楽器の音が埋もれにくくなり、全体のバランスが向上します。
空間的な広がりを作る
「リバーブ」や「ディレイ」といったエフェクターは、音の響きや残響を調整して奥行きのあるサウンドを作り出します。リバーブはコンサートホールのような響きを加え、ディレイは音を遅らせて反響を作ることで幻想的な雰囲気を演出できます。これらのエフェクトは、ソロパートやアンビエント系の音楽で特に重宝されます。
音の変化・歪みを加える
ロックやメタルのギターサウンドには欠かせないのが、「オーバードライブ」や「ディストーション」といった歪み系エフェクターです。これらは音をわざと歪ませ、力強く厚みのあるサウンドを作る役割を担います。また「ファズ」はさらに極端な歪みを加え、独特なノイズ感のあるサウンドを生み出します。これらのエフェクターは、ジャンルごとに異なる音作りの中心となる重要なツールです。
エフェクターの仕組みを簡単に解説
エフェクターは楽器の音を入力して内部の回路で処理を加えた後に、加工された音を出力する機器です。これによって音の歪み、響き、揺らぎなど、さまざまな効果を加えることができます。
エフェクターの基本構造
エフェクターの内部には、音を加工するための電子回路やデジタルプロセッサが組み込まれており、基本的な構造は以下の通りです。
入力(IN端子)
・楽器から送られてくる音の信号を受け取る部分。
・ギターやベースのシールド(ケーブル)を接続する。
音の処理(エフェクト回路)
・エフェクター内部で音の加工が行われる部分。
・各エフェクターごとに異なる回路が使われており、音の歪みや残響などを加える。
コントロール(調整ノブ)
・エフェクトの強さや効果のかかり具合を調整する部分。
・例えばディストーションなら「歪みの強さ」、リバーブなら「残響の長さ」を変更できる。
出力(OUT端子)
・処理された音をアンプやミキサーに送る部分。
・最終的にスピーカーから加工された音が出力される。
信号処理の流れとエフェクトのかかり方
エフェクターが音を処理する流れは、以下のようになります。
この流れを理解することで、エフェクターがどのように音を変化させているのかがイメージしやすくなります。
- 楽器からの信号を受け取る
・ギターやベースの弦を弾くと、ピックアップが音を電気信号に変換。
・その信号がエフェクターに送られる。
- エフェクター内部で信号を加工する
・歪み系(オーバードライブ、ディストーション):音の波形を変形させて歪みを作る。
・空間系(リバーブ、ディレイ):音の波を複製して遅延や残響を加える。
・モジュレーション系(コーラス、フランジャー):音の位相をずらして揺らぎを加える。
- 処理された音を出力する
・エフェクトが加えられた音がアンプへ送られ、スピーカーから出力。
・ここで、音がどのように変化したかを確認できる。
アナログエフェクターとデジタルエフェクターの違い
エフェクターには大きく分けて「アナログ方式」と「デジタル方式」の2種類があり、それぞれの違いを知ることで、音作りの選択肢が広がります。
アナログエフェクター
アナログエフェクターは、電子部品(トランジスタ、コンデンサ、オペアンプなど)を使い、電気信号の波形を直接加工してエフェクトを加えます。
代表的なアナログエフェクターには、BOSS SD-1(オーバードライブ)やMXR Phase 90(フェイザー)などがあります。
メリット | 自然で温かみのある音が特徴。
シンプルな構造で直感的に操作できる。 レスポンスが良く、演奏のニュアンスが伝わりやすい。 |
デメリット | 音の変化の種類が限られている。
エフェクターを複数つなぐとノイズが発生しやすい。 1つのエフェクターでできることが少ない。 |
デジタルエフェクター
デジタルエフェクターは音の信号をデジタル化し、コンピュータ処理でエフェクトを加える方式です。
代表的なデジタルエフェクターには、BOSS GT-100(マルチエフェクター)やTC Electronic Flashback(ディレイ)などがあります。
メリット | 多機能で、1台でさまざまなエフェクトを使える。
プリセット機能があり、複数の設定を保存・切り替え可能。 ノイズが少なく、クリアな音質を維持できる。 |
デメリット | アナログに比べると、機械的な音に感じることがある。
操作が複雑で、初心者には難しいことがある。 若干の音の遅延(レイテンシー)が発生することがある。 |
エフェクターの接続方法による違い
エフェクターは、使い方によって音の変化が大きく異なります。特に重要なのが、直列接続(シリアル接続)と並列接続(パラレル接続)の違いです。
直列接続(シリアル接続)
エフェクターを順番につなぎ、1台ずつ音を加工していく方式です。
・各エフェクターの効果が明確に反映される。
・シンプルな配線で扱いやすい。
・ただし、エフェクターの数が増えるとノイズが発生しやすい。
並列接続(パラレル接続)
音の信号を分岐させ、それぞれのエフェクターに送る方式です。
・立体的なサウンドを作ることができる。
・各エフェクターの影響を独立して調整可能。
・ただし、専用のミキサーやループスイッチャーが必要になることもある。
音楽ジャンルとエフェクターの関係性
エフェクターの種類によって得られる音の効果が異なりため、演奏する音楽ジャンルに合ったエフェクターを選ぶことが重要です。
ロック・メタル
ロックやメタルでは、ギターサウンドの歪みが重要な要素となります。そのためディストーションやオーバードライブが必須のエフェクターです。
・ディストーション(BOSS DS-1):深く激しい歪みを加えることで、ヘヴィなリフやソロに適した音を作る。
・オーバードライブ(Ibanez TS9):暖かみのある歪みを生み出し、ブルースからハードロックまで幅広く活躍。
ポップス・J-POP
ポップスやJ-POPではクリアで明瞭な音作りが求められることが多いため、コーラスやリバーブなどの空間系エフェクターが有効です。
・コーラス(BOSS CE-2):音に揺らぎを加え、厚みのあるサウンドを作る。
・リバーブ(BOSS RV-6):自然な残響を加えて、楽曲に広がりを持たせる。
ジャズ・ブルース
ジャズやブルースでは音の粒立ちや表現力が重視されるため、コンプレッサーやイコライザーが活用されます。
・コンプレッサー(Keeley Compressor Plus):音量のばらつきを抑え、クリーンなトーンを維持。
・イコライザー(BOSS GE-7):周波数帯域を調整し、音の輪郭をはっきりさせる。
2.エフェクターの種類と特徴
エフェクターにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる役割を持っています。音に歪みを加えてパワフルなサウンドを作るもの、残響や反響を加えて空間の広がりを演出するもの、音の厚みや揺らぎを生み出すものなど、多彩なエフェクターが存在します。
ここでは、エフェクターの種類ごとの特徴について詳しく解説します。
歪み系(オーバードライブ、ディストーション、ファズ)の特徴
歪み系エフェクターは楽器の音を加工して歪みを加えることで、力強いサウンドを生み出すエフェクターです。クリーントーンの音に軽い歪みから激しい歪みまで幅広いエフェクトを加えられるため、ロックやメタルなどのジャンルで必須の機材です。
オーバードライブ
オーバードライブは真空管アンプを強く鳴らしたときに生じる自然な歪みを再現するエフェクターです。温かみのあるサウンドが特徴で、軽めの歪みから中程度の歪みまで調整可能です。
・代表的な機種:BOSS SD-1、Ibanez TS9
・音の特徴:真空管アンプをプッシュしたような、ナチュラルな歪みを再現
・用途:ブルースやクラシックロックに適しており、アンプの音を活かした歪みを加えられる
ディストーション
ディストーションは、オーバードライブよりも強い歪みを加えるエフェクターです。音の輪郭がはっきりしてアタック感が強いため、ハードロックやメタルなどの激しいジャンルで多用されます。
・代表的な機種:BOSS DS-1、Pro Co RAT2
・音の特徴:オーバードライブよりも強い歪みを加え、パワフルなサウンドを生む
・用途:ハードロックやメタルなど、激しい音楽ジャンルで多用される
ファズ
ファズは波形を極端に変化させることで、独特のノイズ感と太くつぶれたようなサウンドを生み出すエフェクターです。60年代のサイケデリックロックやグランジなどのジャンルでよく使用されます。
・代表的な機種:Electro-Harmonix Big Muff Pi、Dunlop Fuzz Face
・音の特徴:極端な歪みを加え、独特なサスティンやノイズ感のあるサウンドを作る
・用途:サイケデリックロックやオルタナティブロックで個性的な音を作るのに適している
時間系(ディレイ、リバーブ)で音に奥行きを加える
時間系エフェクターは、音の残響や反響を調整して空間的な広がりを演出するエフェクターです。特にライブ演奏やレコーディングにおいて、音の奥行きを加えるために使用されます。
ディレイ
ディレイは、音を遅らせて繰り返すことでエコーのような効果を生み出すエフェクターです。短いディレイタイムではスラップバックエコーのような効果を、長いディレイタイムでは幻想的な音作りが可能になります。
・代表的な機種:TC Electronic Flashback Delay、BOSS DD-3
・音の特徴:音を遅延させ、エコーのような効果を加える
・用途:リードギターのソロや、幻想的なアンビエントサウンドを作る際に有効
リバーブ
リバーブは、音に残響を加えることでホールやスタジオのような響きを再現するエフェクターです。自然な空間的広がりを持たせることで、音楽全体の雰囲気を豊かにすることができます。
・代表的な機種:BOSS RV-6、Electro-Harmonix Holy Grail
・音の特徴:ホールやスタジオのような残響を加え、自然な響きを作る
・用途:アコースティックギターやボーカルにも使われ、楽曲の雰囲気を豊かにする
モジュレーション系(コーラス、フランジャー、フェイザー)の役割
モジュレーション系エフェクターは、音の位相をずらしたり揺らしたりすることで立体感のある音を作り出します。
コーラス
コーラスは、原音にわずかにずらした音を重ねることで厚みのあるサウンドを生み出します。
・代表的な機種:MXR M234 Analog Chorus、BOSS CE-2
・音の特徴:音を微妙に揺らし、複数の楽器が重なったような厚みのあるサウンドを作る
・用途:クリーントーンのギターサウンドに奥行きを加える
フランジャー
フランジャーは、音の波形を周期的に変化させることでジェット機のような効果を作り出すエフェクターです。
・代表的な機種:Electro-Harmonix Electric Mistress、MXR M117R Flanger
・音の特徴:ジェット機のような「シュワーン」とした効果を生み出す
・用途:サイケデリックロックやプログレッシブロックで特徴的な音を演出
フェイザー
フェイザーは、音の位相をずらすことで波のような周期的な揺らぎを作るエフェクターです。
・代表的な機種:MXR Phase 90、BOSS PH-3
・音の特徴:波のような周期的な変化を加え、独特な揺らぎを作る
・用途:ファンクやジャズフュージョンのリードギターで多用される
ダイナミクス系(コンプレッサー、ノイズゲート)で音のバランスを整える
ダイナミクス系エフェクターは、音量の変化をコントロールしてノイズを抑えることで演奏のクオリティを向上させるエフェクターです。特にライブ演奏やレコーディングでは、音のバラつきを抑えて一貫性のあるサウンドを作るために重要な役割を果たします。
コンプレッサー
コンプレッサーは、音のダイナミクス(強弱)を均一にするエフェクターです。音が小さい部分を持ち上げ、大きい部分を抑えることで演奏の安定感を高めます。またサステインを伸ばして音の余韻を長くする効果もあります。
・代表的な機種:Keeley Compressor Plus、MXR Dyna Comp
・音の特徴:音量を均一にし、サステインを伸ばす
・用途:クリーントーンのギターやカッティング奏法での粒立ちをよくする
ノイズゲート
ノイズゲートは、一定以下の音量の信号をカットすることで不要なノイズを除去するエフェクターです。特にハイゲインアンプを使用するギタリストにとって、歪みエフェクターと組み合わせることでノイズ対策として必須の機材となります。
・代表的な機種:ISP Decimator、BOSS NS-2
・音の特徴:不要なノイズをカットし、音をクリアにする
・用途:ハイゲインのディストーションを使用する際のノイズ対策
その他のエフェクター(イコライザー、ワウペダル)について
ここまで紹介したエフェクター以外にも、音作りに欠かせない重要なエフェクターがあります。イコライザーは音質を細かく調整するために使われ、ワウペダルは特徴的な音の変化を生み出すために用いられます。
イコライザー(EQ)
イコライザー(EQ)は、特定の周波数帯域を強調・削減することで音質を調整するエフェクターです。ギターやベースのサウンドを細かく調整する際に使用され、バンドアンサンブルの中で楽器の音を際立たせたり、不要な帯域を削減したりすることができます。
・代表的な機種:BOSS GE-7、MXR 10 Band EQ
・音の特徴:特定の周波数を強調・削減し、音を整える
・用途:ギターやベースのサウンドを細かく調整する
ワウペダル
ワウペダルは、足でペダルを操作することで特定の周波数を動的に変化させて「ワウワウ」とした独特な音色を生み出すエフェクターです。特にファンクやブルース、ハードロックのギターソロで多用されます。
・代表的な機種:Dunlop Cry Baby、Vox V847
・音の特徴:「ワウワウ」とした音の変化を作り出す
・用途:ファンクやブルース、ロックのソロで効果的に使われる
3.エフェクターの選び方
エフェクターには多くの種類があり、それぞれに特徴があります。そのため初心者の方が「どれを選べばいいのかわからない」と悩むことも少なくありません。自分の演奏スタイルや音楽ジャンルに適したエフェクターを選ぶことで、理想のサウンドを作り出すことができます。
ここではエフェクター選びのポイントについて詳しく解説します。ジャンルや演奏スタイルに合わせた選び方、単体エフェクターとマルチエフェクターの違い、操作性や耐久性の確認方法、予算別のおすすめエフェクターについて紹介します。
演奏ジャンルに適したエフェクターの選び方
エフェクターは、演奏するジャンルによって最適なものが異なります。各ジャンルでよく使用されるエフェクターを知ることで、より効果的な音作りが可能になります。
ロック・メタル向けのエフェクター
ロックやメタルでは、力強く歪んだギターサウンドが特徴的です。そのためディストーションやオーバードライブが必須となります。またソロパートを際立たせるために、ディレイやリバーブを併用することもおすすめです。
おすすめエフェクター
・BOSS DS-1(ディストーション)
・Ibanez TS9(オーバードライブ)
・TC Electronic Flashback Delay(ディレイ)
ポップス・J-POP向けのエフェクター
ポップスでは、ギターのクリーントーンを活かしつつ、音に厚みや奥行きを加えるエフェクターが重要です。コーラスやリバーブを使うことで、より明るく広がりのあるサウンドを作れます。
おすすめエフェクター
・BOSS CE-2(コーラス)
・BOSS RV-6(リバーブ)
ジャズ・ブルース向けのエフェクター
ジャズやブルースでは、音の粒立ちを良くし、ナチュラルな響きを活かした音作りが求められます。そのためコンプレッサーやイコライザーを使って音のバランスを整え、必要に応じて軽くオーバードライブを加えると良いでしょう。
おすすめエフェクター
・Keeley Compressor Plus(コンプレッサー)
・BOSS GE-7(イコライザー)
単体エフェクターとマルチエフェクターの違い
エフェクターには、大きく分けて「単体エフェクター」と「マルチエフェクター」の2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解し、自分の用途に合ったものを選びましょう。
また初心者の場合は、まずはマルチエフェクターを使用し、慣れてきたら単体エフェクターを組み合わせるのがおすすめです。
単体エフェクターの特徴
単体エフェクターは、1台につき1つのエフェクトを持つ機材です。例えばディストーションなら歪み系専用、リバーブなら残響専用といった形になります。
メリット
・音質が高く、細かい音作りが可能
・シンプルな構造で直感的に操作できる
・各エフェクターの個性を活かしたサウンドが作れる
デメリット
・複数のエフェクターを使用する場合、配線が複雑になる
・それぞれの機材を個別に購入するため、コストがかかる
マルチエフェクターの特徴
マルチエフェクターは、1台に複数のエフェクトが搭載されている機材です。ペダルボードを組む手間がなく、多機能な音作りが可能です。
メリット
・1台で多彩なエフェクトを使用できる
・プリセット機能があり、簡単に音色を切り替えられる
・コストパフォーマンスが高い
デメリット
・単体エフェクターと比べると音質が劣ることがある
・操作が複雑になりやすく、設定に時間がかかる
操作性と耐久性を考慮するポイント
エフェクターを選ぶ際には、サウンドの良し悪しだけでなく、操作性と耐久性も重要なポイントです。特にライブ演奏では、瞬時に音を切り替える必要があるため、直感的に使えるかどうかがパフォーマンスに影響します。また頻繁に足で踏む機材のため、耐久性が低いものだと故障しやすく、長く使うことが難しくなります。
ここでは、操作性と耐久性を確認するポイントを詳しく解説します。
操作性のチェックポイント
エフェクターの操作性は、演奏中のスムーズなパフォーマンスに大きく影響します。特にライブやリハーサル中に設定を素早く変更できるかどうかは、実用性の観点で非常に重要です。
以下の点をチェックして選ぶと良いでしょう。
- 直感的に操作できるか?
ダイヤルやスイッチが分かりやすく、細かい調整が簡単にできるかを確認します。特にライブ中にツマミを微調整する場合、適度なサイズ感のものが扱いやすくなります。
例えばBOSSシリーズのようなシンプルなデザインのエフェクターは、初心者でも扱いやすい設計になっています。
- プリセット機能はあるか?
マルチエフェクターの場合、事前に設定したエフェクトをワンタッチで呼び出せるプリセット機能があると便利です。特に複数の曲で異なるサウンドを使い分ける場合、プリセット機能の有無が選択の決め手になります。
例えばLine 6 Helixなどの高性能マルチエフェクターは、豊富なプリセット機能を備え、プロの現場でも使用されています。
耐久性のチェックポイント
エフェクターは頻繁に足で踏むため、耐久性の高さも選ぶ上で重要なポイントになります。特にライブやツアーで持ち運ぶ場合、頑丈なものを選ばないと故障のリスクが高まります。
- ボディの材質は金属製か?
プラスチック製のエフェクターは軽量ですが、耐久性が低く、衝撃に弱い傾向があります。長く使うことを考える場合、金属製シャーシ(アルミやスチール)のものを選ぶと安心です。
例えばMXRやBOSSのエフェクターは頑丈な金属製で、プロのギタリストにも愛用されています。
- フットスイッチの耐久性は?
エフェクターは足で踏んで使用するため、スイッチ部分の耐久性も重要です。耐久性が低いものは、頻繁に踏むと接触不良を起こしやすくなります。
高品質なフットスイッチを使用したエフェクターを選ぶことで、長期間の使用でも安心できます。例えばElectro-HarmonixやFulltoneのエフェクターは、スイッチの耐久性が高く評価されています。
予算別おすすめエフェクターの選び方
エフェクターの価格はモデルや機能によって大きく異なります。初心者向けの手頃なものから、プロ仕様の高価なモデルまで幅広く展開されています。予算に応じて適切なエフェクターを選ぶことで、コストパフォーマンスを最大限に活かすことができます。
ここでは予算別におすすめのエフェクターを紹介します。
1万円以内(初心者向け)
1万円以内のエフェクターは手軽に導入できる価格帯のため、エフェクター初心者におすすめです。この価格帯のエフェクターはシンプルな設計で扱いやすく、基本的なエフェクトを体験するのに最適です。
この価格帯ではブランドや機種によって品質の差が大きいため、口コミやレビューを参考にしながら選ぶと失敗が少なくなります。
おすすめエフェクター
・BOSS DS-1(ディストーション):定番の歪みエフェクターで、シンプルながらパワフルなサウンドを提供。
・Behringer TO800(オーバードライブ):安価ながら、チューブアンプのような温かみのあるサウンドが得られる。
1万円〜3万円(中級者向け)
1万円〜3万円のエフェクターは機能性や音質が向上し、より細かい音作りが可能になります。ライブやレコーディングを視野に入れたエフェクターを探している人におすすめの価格帯です。
この価格帯のエフェクターは耐久性や音質に優れており、長期間使えるモデルが多く揃っています。エフェクターに慣れてきたら、このクラスの製品を選ぶのが良いでしょう。
おすすめエフェクター
・Ibanez TS9(オーバードライブ):ブルース・ロック向けの名機で、プロも愛用する定番モデル。
・TC Electronic Flashback(ディレイ):デジタルとアナログの良い部分を兼ね備えた高品質ディレイ。
3万円以上(プロ仕様)
3万円以上のエフェクターは、プロのミュージシャンが使用するレベルの高品質なモデルが多く、こだわりのサウンドを追求したい人に最適です。音質や機能面で優れた性能を持ち、スタジオ録音や大規模なライブ演奏にも対応できます。
このクラスのエフェクターは価格が高い分、細かい音作りが可能で耐久性も高いため、長期的に使用できるメリットがあります。
おすすめエフェクター
・Strymon BigSky(リバーブ):圧倒的な音質を誇るリバーブエフェクターで、プロの現場でも多用される。
・Line 6 Helix(マルチエフェクター):高性能なマルチエフェクターで、幅広いジャンルに対応可能。
4.おすすめのエフェクター10選
エフェクターには多くの種類があり、初心者向けからプロ仕様まで幅広い選択肢があります。自分の演奏スタイルや音楽ジャンルに適したエフェクターを選ぶことで、より理想的なサウンドを作り出すことができます。
ここでは特に評価の高い定番エフェクターを10種類厳選し、それぞれの特徴やおすすめのポイントを詳しく紹介します。
オーバードライブ:
おすすめポイント
・非対称クリッピング回路による自然なオーバードライブサウンド
・トーン・コントロールによる多彩な音色調整
・手頃な価格と高い耐久性
BOSS SD-1 Super OverDriveは、1981年の発売以来、多くのギタリストに愛用されているオーバードライブ・ペダルです。
独自の非対称クリッピング回路を採用し、真空管アンプのような自然で音楽的な歪みを提供します。トーン・コントロールによって低音から高音まで幅広い音色調整が可能で、さまざまな音楽ジャンルや演奏スタイルに対応します。またクリーンやクランチのアンプ設定と組み合わせることで、クラシックロックやブルースなどのジャンルで豊かなサウンドを実現します。さらにハイゲイン・アンプのブースターとして使用することで、音の輪郭を際立たせ、ソロ演奏時の存在感を高めることができます。
手頃な価格と高い耐久性も魅力で、初心者からプロフェッショナルまで幅広く支持されています。
ディストーション: Pro Co RAT2

出典:ACTエンターテイメント
(https://actentertainment.com/rat-2-distortion-pedal/)
引用:Pro Co RAT2
おすすめポイント
・多彩なジャンルに対応する高い汎用性
・ユニークなフィルターコントロール
・堅牢な作り
Pro Co RAT2は、ロック、ブルース、パンク、ジャズなど、あらゆるジャンルで活躍する汎用性の高いディストーションペダルです。
数千のレコーディングで使用され、過去30年間の最も影響力のあるバンドのサウンドを支えてきました。
その魅力は多彩な用途に対応する柔軟性にあります。アリーナロックのリズムトーンから力強いリードサウンドまで、RAT2があれば理想のディストーションを実現できます。またアンプの歪みが強すぎる場合は「ダーティーチャンネル」として使用したり、アンプの歪みを活かしながらソロ用のブースターとしても活用できます。
さらに伝説的なRATフィルターコントロールを搭載し、高音域を調整することでミックスの中で抜けるサウンドを簡単に作ることができます。ミリタリー仕様のガラスエポキシ基板と頑丈なスチール製ボディを採用。
プロ仕様の耐久性と音質を兼ね備えた、ディストーションの定番ペダルです。
ファズ: Electro-Harmonix Big Muff Pi

出典:electro harmonix(https://kcmusic.jp/ehx/usbigmuff/)
引用:Electro-Harmonix Big Muff Pi
おすすめポイント
・リッチでクリーミーなサステイン
・40年以上にわたるプロフェッショナルからの支持
・ノイズを抑えた高い完成度の設計
Electro-Harmonix Big Muff Piは、1969年の登場以来、ジミ・ヘンドリックスやカルロス・サンタナなど多くの著名ギタリストに愛用されてきた、USA製のオリジナル・ディストーション/サステイナー・ペダルです。
その特徴的なリッチでクリーミーな、ヴァイオリンのようなサステインの効いたディストーションサウンドは、ロックギターサウンドの定義を築いてきました。1980年前後に登場したモデルを基にノイズを大幅に抑えた設計で、完成度の高いサウンドを提供します。またTrue Bypass仕様により、エフェクトオフ時の音質劣化を防ぎます。
コーラス: MXR M234 Analog Chorus

出典:MORIDAIRA(https://moridaira.jp/mxr/pedals/m234/)
おすすめポイント
・純粋なアナログ回路による豊かなコーラスサウンド
・多彩なトーンコントロール
・コンパクトで使いやすいデザイン
MXR M234 Analog Chorusは、BBD(Bucket Brigade Device)回路を採用した純粋なアナログコーラスペダルです。
アナログならではの豊かな倍音と広がりのあるサウンドが特徴で、ギターの音色に深みと奥行きを加えます。LOWとHIGHのコントロールにより、爽やかなトーンから暖かみのあるトーンまで、多彩なコーラスサウンドを自在に作り出すことが可能です。またLEVEL、RATE、DEPTHの各コントロールで、エフェクトの出力、モジュレーションの速度、深さを細かく調整できます。
このペダルはギタリストにとって扱いやすく、幅広い音作りに対応する優れたコーラスエフェクターです。
フランジャー: Electro-Harmonix Electric Mistress

出典:Electro-Harmonix(https://kcmusic.jp/ehx/sem/)
引用:Electro-Harmonix Electric Mistress
おすすめポイント
・フランジャーとコーラスの同時使用によるリッチなモジュレーション効果
・独特なサウンドを生むフィルターマトリックス・モード
・ステレオ出力とコンパクトなデザイン
Electro-Harmonix Electric Mistressは、フランジャーとコーラスを同時に使用できるペダルで、リッチで独特なステレオ・モジュレーションサウンドを生み出します。
特長的なフィルターマトリックス・モードを搭載しており、フランジャー効果の揺れを途中で止めたような独自のサウンドを得ることが可能です。ステレオ出力に対応し、立体的な音場を構築できます。コンパクトなサイズ(91mm×118mm×50mm、350g)で、ペダルボードへの組み込みも容易。電源は9V DCセンターマイナスアダプター(付属)で駆動し、バッファード・バイパス仕様となっています。
Electro-Harmonix Electric Mistress は、多彩なモジュレーション効果を求めるギタリストにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
フェイザー: MXR Phase 90

出典:MORIDAIRA(https://moridaira.jp/mxr/pedals/m101/)
引用:MXR Phase 90
おすすめポイント
・シンプルな操作性
・多彩なサウンドバリエーション
・コンパクトで堅牢なデザイン
MXR Phase 90は、1974年に登場して以来、多くのギタリストに愛用されているクラシックなフェイザー・ペダルです。
特にエディ・ヴァン・ヘイレンの音作りに欠かせない要素として知られ、その暖かみのある独特なサウンドが特徴です。シンプルなデザインで、SPEEDノブひとつでフェイザーの速度を調整可能。SPEEDを上げると大胆でサイケデリックな効果、下げるとスムーズで深みのあるモジュレーションが得られます。原音を崩さずに音の揺れを追加するため、リズムギターやリードギターの両方に柔軟に対応し、ファンキーなカッティングからハードロックまで幅広く使用されています。
ディレイ: TC Electronic Flashback Delay

出典:TCelectronic(https://electori.co.jp/tcelectronic/FLASHBACK_2_DELAY.htm)
引用:TC Electronic Flashback Delay
おすすめポイント
・多彩なディレイタイプ
・TonePrint機能
・ルーパー機能
TC Electronic Flashback Delayは、多彩なディレイタイプと高い柔軟性を備えたペダルです。
2290デジタルディレイ、アナログディレイ、テープエコー、リバースディレイなど、9種類のディレイタイプを搭載し、幅広いサウンドメイクが可能です。さらにTonePrint機能により、スマートフォンやPCを使ってアーティストが作成したプリセットをダウンロードしたり、自分好みのサウンドを作成して保存できます。また最大40秒のルーパー機能を内蔵し、演奏の幅を広げることができます。
シンプルな操作性と多機能性を兼ね備えたこのペダルは、初心者からプロまで幅広いギタリストにおすすめです。
リバーブ: BOSS RV-6 Reverb
おすすめポイント
・多彩なリバーブ・モード
・直感的な操作性
・高い汎用性と音質
BOSS RV-6 Reverbは、最新のDSP技術と新開発のリバーブ・アルゴリズムを搭載したコンパクトなリバーブ・ペダルです。
8種類のリバーブ・モードを備え、定番のROOMやHALLから、幻想的なSHIMMERやDYNAMICなど、多彩なサウンドを提供します。直感的な操作が可能な3つのノブ(LEVEL、TONE、TIME)により、細やかな音作りが簡単に行えます。またエクスプレッション・ペダル(別売)を接続することで、演奏中にリアルタイムで残響をコントロールできます。モノラルおよびステレオ入出力に対応し、ギターだけでなくキーボードやPA機器など、さまざまな楽器で使用可能です。
BOSS RV-6 Reverbはその高い汎用性と高音質で、あらゆるミュージシャンのニーズに応えるリバーブ・ペダルです。
コンプレッサー: Keeley Compressor Plus

出典:Keeley Elecrtonics(https://robertkeeley.com/product/keeley-compressor-plus/)
おすすめポイント
・シングルコイルとハムバッカーに対応したリリーススイッチ
・トーンコントロールによる高音域の調整
・ブレンドコントロールで原音とエフェクト音のバランス調整
Keeley Compressor Plusは、ギタリストの多様なニーズに応える高性能コンプレッサー・ペダルです。
シングルコイルとハムバッカーのピックアップに最適化されたリリース・スイッチを搭載し、ギターの種類を問わず自然でダイナミックなサウンドを提供します。またトーン・コントロールにより、圧縮時に失われがちな高音域を補完し、音色の明瞭さと輝きを維持します。さらにブレンド・コントロールを備え、原音と圧縮音のバランスを自在に調整可能で、アタック感を損なわずにサステインを強化できます。
これらの機能によりKeeley Compressor Plusは、プロフェッショナルからアマチュアまで幅広いギタリストにとって理想的なコンプレッサー・ペダルとなっています。
イコライザー: BOSS GE-7 Graphic Equalizer
引用:BOSS GE-7 Graphic Equalizer
おすすめポイント
・ギターに最適な7バンドの周波数帯域
・±15dBのブースト/カット幅
・多用途な活用方法
BOSS GE-7 Graphic Equalizerは、ギター用に設計された7バンド・グラフィック・イコライザーです。
100Hzから6.4kHzまでの周波数帯域を±15dBの範囲でブーストまたはカットでき、繊細な音色補正から大胆なサウンドメイクまで幅広く対応します。各スライダーはギターに最適な周波数帯域に設定されており、低域から高域まで自在にコントロール可能です。またLEVELスライダーを搭載しており、エフェクト切り替え時の音量差を補正し、全体の音量調整も容易に行えます。
BOSS GE-7 Graphic Equalizerは、歪み系エフェクターの音質補正やプリアンプ、ブースターとしても活用でき、演奏環境や楽器に合わせた音場補正が瞬時に行えるため、ギタリストにとって非常に柔軟性の高いペダルです。
5.まとめ
この記事ではエフェクターの基礎知識から種類、選び方までを詳しく解説しました。
エフェクターは楽器の音を自由に加工し、演奏の表現力を高めるための重要な機材です。歪み系、時間系、モジュレーション系、ダイナミクス系など、それぞれの種類に応じた効果があり、使用する音楽ジャンルや演奏スタイルに適したエフェクターを選ぶことが大切です。
初心者の方は、まずシンプルな単体エフェクターから始め、徐々に必要なものを揃えるのがおすすめです。一方で多彩な音作りを楽しみたい方にはマルチエフェクターも有効な選択肢となります。
ぜひこの記事の内容を参考に自身の求めるサウンドに合ったエフェクターを選び、演奏のクオリティ向上と、より魅力的な音楽表現を実現しましょう。