オフィスの内装・AVシステム導入工事をなんでも相談OK

050-1273-4862 営業時間 10:00〜16:00(土日曜祝日休業)
  • お見積り
  • 無料相談
  1. Home
  2. コラム
  3. 無線LANのアクセスポイント設計|2026年版 オフィスで電波が届かない原因と対策

COLUMN コラム

無線LANのアクセスポイント設計|2026年版 オフィスで電波が届かない原因と対策

公開日 :

オフィスで電波が届かない5つの原因とアクセスポイント設計という考え方

オフィスで無線LANがつながらない、遅いという相談の多くは、機器の性能不足ではなく設計の問題です。アクセスポイント設計(AP設計)とは、どこで使えるかを決めるカバレッジ設計と、何人が同時に使えるかを決める容量設計の2軸で、電波の届く範囲と処理能力を意図的にコントロールすることを指します。家庭用ルーターの発想では前者だけを考えがちですが、オフィスでは後者が欠けると台数を増やしても改善しません。

電波が届かない原因は大きく5つに分けられる

  • 距離減衰:電波は発射元から離れるほど弱くなる。広いフロアの端や階をまたいだ位置では、信号は届いていても実効速度が大きく落ちる
  • 遮蔽物による減衰:スチール什器、金属製ロッカー、書庫、ガラスパーティション、コンクリート壁などが電波を反射・吸収する
  • 外部からの干渉:電子レンジや一部の無線機器、隣接テナントのアクセスポイントが同じ帯域を使い、通信の待ち時間が増える
  • 自社AP同士の同一チャネル干渉:台数を増やしすぎた結果、近接するAP同士が互いの電波を邪魔する
  • 端末側の対応バンド不足:古いノートPCやハンディ端末が新しい周波数帯に対応しておらず、混雑した帯域に集中してしまう

特にオフィス特有なのが2番目です。工場やバックヤードのように金属製機器が多く電波が届きにくい環境では、カタログ上の到達距離がほとんど参考にならない場合があります。総務省のAFC運用に関する基本的な考え方(概要)でも、こうした環境でのエリアカバーが課題として想定されています。

APを足すほど遅くなる仕組み

無線LANは、同じチャネルを使う機器が電波を出している間は他の機器が送信を待つという方式で動いています。つまり1つのチャネルは複数APで分け合う共有資源です。届かないからと同じチャネルのAPを近くに増設すると、カバー範囲は重なる一方で待ち時間が増え、1台あたりの実効速度はむしろ下がります。増設が効くのは、干渉を避ける前提が整っている場合に限られます。

体感症状から原因を推定する

  • 会議室だけ遅い:ガラスや壁による遮蔽、あるいは距離減衰の可能性
  • 人が増えると切れる:容量設計の不足、または同時接続の集中
  • 特定の端末だけ不安定:端末側の対応バンドや世代の差
  • 時間帯で変動する:外部機器や隣接テナントとの干渉

同じ症状でも原因が異なれば打ち手は変わるため、まず原因側を切り分けることが設計の出発点になります。

2026年時点の周波数帯と制度動向|2.4GHz・5GHz・6GHz帯の使い分け

2026年時点の周波数帯と制度動向|2.4GHz・5GHz・6GHz帯の使い分け

オフィスの電波設計では、どの周波数帯をどのエリアに割り当てるかで結果が大きく変わります。2026年時点の制度を前提に、バンドごとの性格を整理しておきます。

2.4GHz・5GHz・6GHz帯の使い分けの前提

無線LANの周波数帯は2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯に大別され、5GHz帯はさらに5.2GHz・5.3GHz・5.6GHzで使用条件が異なります。屋外で使えるのは2.4GHz帯と5.6GHz帯で、5.2GHz帯は条件付き、5.3GHz帯は屋外利用不可です。また令和6年12月の一部答申を受け、令和7年4月から条件付きで上空利用も可能になりました。屋外テラスやエントランス前など半屋外エリアを含む計画では、この区分が機器の設置可否を直接左右します(総務省 電波利用ポータル)。

5GHz帯のうち気象レーダー等と共用する帯域ではDFS(動的周波数選択)が働き、レーダー検出時にチャネルが切り替わります。空港や沿岸部に近い拠点では、特定チャネルが安定しない場合があるため、割り当てを固定しすぎない運用が無難です。

6GHz帯の出力区分と2026年7月の答申

6GHz帯(5925〜6425MHz)は、屋内限定で使える無線局がEIRP最大200mW相当(LPI)、屋内外で使える無線局がEIRP最大25mW相当(VLP)と定められています。つまり現時点で6GHz帯を屋外で使う場合はVLPに限られ、広いエリアを6GHz帯だけでカバーする設計は成り立ちません。

一方で制度は動いています。総務省は2026年7月2日、情報通信審議会から6GHz帯無線LANの周波数拡張等に係る技術的条件および5GHz帯無線LANのDFS高度化に係る技術的条件について一部答申を受けました(総務省 報道資料)。報告(案)では、屋内外での利用を認める標準出力モードとしてSP(Standard Power)モードが定義され、6.5GHz帯(6425〜7125MHz)への拡張と、既存システムとの共用に必要なAFCシステムが検討対象とされています。金属製機器が多く電波が届きにくい環境のエリアカバー用途が想定されており(前述の通り)、工場併設オフィスなどでは将来の選択肢になり得ます。

チャネル幅と機器調達で見るべき点

  • チャネル幅を広げるほど速度は出やすいが、使える独立チャネル数が減り干渉リスクが上がるため、席密度の高いエリアでは幅を欲張らない
  • 6GHz帯の制度化は令和4年の省令改正によるもので、対応設備は技術基準が定められ特定無線設備(技適)の対象となる。海外調達品は国内の技適表示の有無を必ず確認する
  • 6.5GHz帯やSPモード対応は制度整備の段階にあり、将来対応の可否は条件により異なるため個別の確認が必要

配線側の条件と合わせて検討したい場合は、LANとAVの統合も参考になります。

AP台数・設置位置・ローミングの決め方とサイトサーベイの進め方

AP台数・設置位置・ローミングの決め方とサイトサーベイの進め方

原因の切り分けが済んだら、次は設計の実作業です。順序としては、台数の仮置き→設置位置の確定→セル設計とローミング方針→給電・配線条件の確認→サーベイによる検証、という流れで進めると手戻りが少なくなります。

台数は面積と同時接続端末数の両面から仮置きする

台数算出には大きく2つの考え方があります。1つは面積ベースで、1台あたりがカバーできる範囲を想定してフロア面積を割る方法。もう1つは端末数ベースで、同時に接続する端末の総数を1台あたりの想定収容数で割る方法です。実務では両方を計算し、多い方を採用するのが安全です。

注意したいのは、部屋の性質によって支配的な要因が変わる点です。執務室は面積が広く人の密度が平準化されやすいため面積ベースが効きやすい一方、会議室は狭い空間に多人数と複数端末(PC・スマートフォン・会議システム)が集中するため端末数ベースが支配的になります。壁で仕切られた小会議室が連続するエリアでは、1室ごとの電波の通り方が変わるため、廊下の1台でまとめてカバーする前提は崩れやすくなります。

設置位置は天井が基本、避けるべき場所を先に潰す

アクセスポイントは、障害物の少ない天井面に下向きで設置するのが基本です。多くの機種は天井設置を前提にアンテナの指向性が設計されているため、向きを変えると想定した放射パターンが得られない場合があります。一方で、次のような場所は性能低下やトラブルの原因になりやすく、優先的に避けます。

  • 壁の内側や天井裏など、金属下地・配管の陰になる位置
  • 書庫やロッカーなど背の高い什器の裏・上面
  • 分電盤やUPSなど電気設備のごく近傍
  • 空調吹出口の直下や、点検口が確保できない位置
  • 柱や梁で片側がほぼ遮られる隅部

セルの重なりとローミング、SSIDの方針

端末が移動しても切れないようにするには、隣り合うセルを適度に重ねる必要があります。重なりが少なすぎると移動中に切断が起き、多すぎると端末が接続先を切り替えずに遠いAPへ居座る現象が出ます。歩行経路を想定し、その経路上で信号が途切れない範囲に抑えるのが設計の勘どころです。SSIDは増やすほど管理用の通信が増えるため、業務用・来客用など用途単位で最小限に絞り、同一SSIDをフロア全体で共通化して切り替えを滑らかにする方針が扱いやすくなります。

サーベイの進め方と事前に用意する情報

サーベイには、図面上で電波の広がりを計算する予測サーベイと、現地で実際に測定する実測サーベイがあります。予測は台数と概略位置を決める段階、実測は壁材や什器の影響を確かめる段階で使い分けます。依頼時には、縮尺入りの平面図、壁・間仕切りの材質、天井高と天井種別、什器レイアウト、想定人数と端末数を揃えておくと精度が上がります。あわせて、各設置点までのLAN配線経路、PoE給電に対応したスイッチのポート数と給電容量、設置点から配線盤までの距離条件も、この段階で確認しておきます。

導入後の検証と発注前チェックリスト|レイアウト変更に強い設計にする

導入後の検証と発注前チェックリスト|レイアウト変更に強い設計にする

設計通りに動いているかは、構築が終わった時点で数値として確認しておく必要があります。検収時に何を測り、どの値を合格とするかは、工事に入る前に発注者と施工側で合意しておくのが安全です。合格条件が曖昧なまま引き渡されると、後から不調が出ても責任の所在が決まりません。

検収時に確認する4つの測定項目

  • 受信強度:主要な執務エリア・会議室・休憩スペースなど、実際に使う場所の床上での値を測る
  • ノイズと電波環境:同一エリアで検出される他ネットワークの状況を含めて記録する
  • 実効スループット:カタログ上の最大値ではなく、実機でのファイル転送やビデオ会議を想定した実測で確認する
  • ローミングの成否:歩きながら通話や会議を継続し、切断や音切れが起きないかを歩行経路ごとに確認する

いずれも測定時刻と同席者を記録に残し、報告書として受け取ることが重要です。合格ラインは利用用途によって妥当な水準が変わるため、一律の数値ではなく自社の業務要件から逆算して事前に決めます。

遅い・切れるときの切り分け順序

トラブル時は上流から順に切り分けると原因特定が早くなります。まず別の端末でも同じ症状が出るかを確認し、特定端末だけなら端末側の設定や対応状況を疑います。複数端末で再現するなら、同じ場所で有線接続して速度を測り、有線でも遅ければ無線ではなく社内ネットワークや回線契約側の問題です。有線は問題なく無線だけ遅い場合に、初めて電波側の調査に進みます。この順序を社内の情報システム担当と共有しておくと、業者への連絡内容も具体的になります。

見積書・仕様書で確認する項目

  • サイトサーベイの有無と種類、報告書の提出可否
  • AP台数の算出根拠が書面で示されているか
  • 機器の対応周波数帯と、将来の帯域拡張への対応方針
  • 設定作業・配線工事の範囲と、どこからが別途費用か
  • 引き渡し後の保守範囲、障害対応の受付時間と対応方法

レイアウト変更に強くしておく工夫

席替え程度であれば再サーベイは不要なことが多い一方、間仕切りの新設や什器の大幅な入れ替え、増床、人員が大きく増えた場合は電波環境が変わるため再測定を検討します。判断に迷う場合は、まず利用者からの不調報告を記録として集め、発生場所に偏りがあるかを見てから依頼すると無駄が減ります。制度面では6GHz帯の利用条件が見直される流れにあるため(前述の通り)、機器更新のタイミングで対応バンドを確認しておくと将来の手戻りを抑えられます。

自社の環境でどこまでの調査や工事が必要かは、建物構造や利用人数によって大きく変わります。概算費用を把握したい場合はお見積りフォームから、進め方や業者選びの段階から相談したい場合はご相談・お問い合わせフォームからお問い合わせください。現状の課題を伺ったうえで、必要な調査範囲をご提案します。

この記事の著者

AVシステム・オフィス内装考察家川端 こうき

AVシステム・オフィス内装考察家

川端 こうき

数多くのオフィス内AVシステム、音響、映像工事や内装工事の現場を見てきた経験から、読者が損や失敗をしないように情報を発信しています。
当メディアでは、企業の法務部や管理部、または工事決裁者向けにオフィス内装工事、AVシステム工事の最新情報や技術情報を提供していきます。

CONTACT お問い合わせ

お客様からのお問い合わせや
お見積りのご相談をお待ちしております。
お困りのことやご不明な点がございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

AVシステム導入工事会社を完全比較

オフィス内装会社を完全比較

Pick up COLUMN

無断転用禁止(Unauthorized copying prohibited.)

4398